SS第6話 咲夜が帰って少ししてから、私も霊夢に用事があると言い残して帰ってきた。 魔法の森にある今にも崩れそうな外見の家が私の家だ。 外見にそぐわず、中も足の踏み場もないくらい物が乱雑に散らばっている。 私は山のように積み上げられたものの中から、目当ての物を探し出す。 それは一冊の本だった。パチュリーのとこから奪っ……、借りてきたやつ。強引だけど……。 「さて、やるか。」 私は数日前からやっている花火製作にとりかかる。 紅魔館の連中も作っているようだが、私は大きな、とてつもなく大きなものを一発だけ作る。 外殻は出来上がり、後は、火薬を丸めた丸玉を円状に中に詰めていく。 作り方は本の通りにしている。失敗しないといいのだが……。 火薬はアリスが持ってそうだったので、アリスのとこに行くと案の定持っていたので、もらってきたものだ。 だって、あいつ人形とか爆発させてるし……。 ただ、もらうとき……、 「魔っ、魔理沙が私に頼みごとを……!魔理沙から積極的に誘ってくるなんて…。  ついに魔理沙が私の物になるのかしら……。はふぅ……。」 頬を上気させて、息遣いも荒く、身もだえしていた。 さ、最後の言葉は聞き間違いだろう。いや、間違いだ。絶対に。 私はそう思うと、まだ変な想像(妄想)をしているのか、「そのあと、魔理沙と×××……。」 と何やら空恐ろしいことを口走り始めたので、こっそりと気付かれぬうちに帰ってきた。 アリスもああいうことをしなければ、普通にいい奴なんだけどな。なにかと世話も焼いてくれるし。 あれこれと考えながら、作業を進めていく。 そして、あの時のことを思い出す。 あの時の私はどうかしていた。 も、もちろん私だって真面目に考えに耽ることだってある……! だけど、あの時の考えは後ろ向きすぎた。端的にいえば、私らしくなかった。 そう。グダグダ悩んでも仕方がない。人間はいつか死ぬのだから、今を楽しまなきゃ損じゃないか。 限りがあるから楽しいってもんだ。 今までのように、今まで以上に楽しもう。そう私は考え直した。 こっちのほうが私らしい考えだと思う。 そして、さらにみんなも楽しめるように、私は大きな大きな『花』を作る……。 巫女が神社で愚痴を言っていた、その日、その大きな『花』は出来上がった。